作品概要
《画家の父》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1896年から1896年で、ピカソ美術館に所蔵されている。

『画家の父』のモデルであるホセ・ルイス・イ・ブラスコは、スペイン・マラガで生まれた。誠実で背の高い彼は42歳のときに結婚し、息子パブロと2人の娘を授かる。結婚以前より、ホセはマラガの美術学校の教師、そして画家として働いていたが、中流階級としての生活を望めるほどの社会的成功はおさめていなかった。ホセは感じのよい気さくな、善意の人であったが、彼がなした業績は彼が夢見たほど偉大なものではなかった。これはその他大勢である我々と同様であると考える。
その結果、若かりしピカソは、比較的豊かな親戚に、家族の生活を頼らざるをえない父のふがいなさを、恥ずかしく思っていた。彼はまた、父の描く平凡極まりない鳩の絵を恥ずかしくおもっていたのだろうか?
しかしピカソにとって、ホセの良かったところは彼の選択した職業である。すなわちピカソは、よく画家志望の子供が経験する親の反対に遭遇することもなかったし、もちろん絵画アトリエや画材などへのアクセスは幼い頃から整っていた。
ピカソの絵画教育は父によるものである。ピカソは父の学校に美術のレッスンを受講しに通っており、父の影響は家庭と、学校と共に多岐にわたるものであったと考えられる。ピカソ最初の2作品、『初聖体拝領』、『科学と慈悲』において、ピカソは(おそらく無意識的に)父の肖像を用いている。
ピカソ作の水彩画、『画家の父』から読み取れるのは、モデルである父の顔は優しく暖かである一方で、彼は何かにすっかり打ちのめされたかのようにみえることである。
おそらく日々の生活の苦しさではないだろうか。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。