作品概要
《階段を降りる裸体、No.2》は、画家のマルセル・デュシャンによって制作された作品。制作年は1912年から1912年で、フィラデルフィア美術館に所蔵されている。

《階段を降りる裸体、No.2》は、フランス生まれの美術家であり、20世紀の最も影響力のある芸術家でもあるマルセル・デュシャン(1887-1968)が1912年に制作した油彩画である。
デュシャンの出世作ともいえる作品
作品がはじめて公開されたのは、1912年、フランスのパリで開かれたアンデパンダン展(1884年以降開催されている無審査、無報酬、自由出品の美術展)だった。
本作はキュビスムと未来派の要素をあわせもった作品であるにもかかわらず、当時キュビストからはあまりにも未来派すぎるとして敬遠された。しかしながら、スペインのバルセロナにあるダルマウ画廊で1912年4月20日から5月10日に開かれたキュビスムのグループ展のなかで展示された。翌年、アメリカのニューヨークにあるアーモリー・ショーで展示されたとき、大きな反響を呼んだ。
連続写真からインスピレーション
本作は、黄土色と茶色で抽象的に運動している人物を描いている。黒い描線で身体の色を制限し、動きのほうを強調した。左上から右下に時計回りに動いているようにみえる。画面の端には暗い色あいで階段が描かれている。黄色に近い黄土色の部分から黒い色調の部分までさまざまだが、全体として暖かい単色のイメージである。
画面下部には、フランス語で「階段を降りる裸体」と書いている。この裸体が男性だとされるいっぽうで、年齢や性格を解き明かすヒントは与えられていない。
また、エティエンヌ=ジュール・マレーが発明した連続写真、特にエドワード・マイブリッジの『人体動作の連続写真集』にある《階段を降りる女》に影響を受けている。
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