作品概要
《トランクの箱》は、画家のマルセル・デュシャンによって制作された作品。制作年は1941年から1941年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

《トランクの箱》は、フランス生まれの美術家であり、20世紀の最も影響力のある芸術家でもあるマルセル・デュシャン(1887-1968)が1941年に制作したオブジェである。
レディ・メイドの発展型
行商人のかばんのような24個の革製のトランクのなかに、デュシャンによるミニチュアレプリカの作品がはいっている。それぞれのトランクには、さまざまな手作業で色をつけたアート作品が、かばんの内側に貼られている。
トランクという〝箱〟だが、その箱を開け、左右の引き戸を開けると、デュシャンの代表的な作品が現れる。さらに下部の蓋を開けると、スケッチや写真が数十点収められている。
「実際のところ、ちょっとした商売です。新しい絵を描くよりはるかに容易だし、ひとりの人間の人生のなかで表現した作品をひとくくりにするのは面白いことです」とデュシャンは語っている。
レディ・メイドという概念から発展させることで、オリジナルと複製のあいだの軋轢を感じさせない。またポータブル美術館としての役割も備わっている。
設計はデュシャン
本作はデュシャンが現実の世界で作り上げた数々の作品が、ミニチュアサイズの写真やカラーの複製といった形で集められている。デュシャンの主要作品が網羅されていると言える。
設計はデュシャン自身によるものだが、ジョセフ・コーネル、ジャクリーヌ・マティスなども制作にかかわっていた。1942年にニューヨークへ引っ越すさいに制作している。この日までに作品の選定も済ませている。写真の複製を使用してはいないが、壁のないアンドレ・マルロー美術館を想起させる。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。