作品概要
《手紙を読む》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1921年から1921年で、パリ国立ピカソ美術館に所蔵されている。

キュビズムから古典主義回帰の間で
『手紙を読む』は、ピカソのキュビズム時代から古典主義回帰の狭間で描かれた作品であり、彼の息子パウロが生まれる直前に描かれた。2人のこぎれいな身なりをした男が手紙を読む様子が描かれている。
2人は手紙を読むためにうつむいた体制で描かれ、1人がもう1人の肩の上に置く手は異様に大きく描かれている。
ピカソがこの絵について言及した記録は残っていないし、正確な完成日付もわかっていない。だが『村のダンス』(1921)や、『母と子』(1921)、『女性の頭部と手』(1921)にて描かれている頭部や手などの多くの特徴がこの絵の中にも描かれている。
評価
この絵についての意見は分かれる。あるニューヨークタイムズの投稿者は社会主義リアリズムであると評し、フランス作家、ジャーナリストであるピエール・デクスは「飾り縫いされた目」という表現を、この絵をはじめ、同時代のピカソの絵を形容する表現として用いた。
ピカソ美術館は、この絵画はこの頃亡くなった友人である、フランスの詩人ギョーム・アポリネールに捧げたものであると理解している。ピカソはキュビズムの画家達から、キュビズムから離脱し、古典主義へと回帰したこと、またキュビズムと古典主義を融合させた作品を創作したことなどを批判されていた。
だが、アリアナ・ハフィントンによると、ピカソはこの時期、あらゆる批判をものともせず、年間150万フラン(約1億7千万円)にのぼる驚異的な彼の金銭的な成功を楽しんでいたとされる。
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