作品概要
《黒いマンティーラを掛けたフェルナンド》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1905年から1906年で、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館に所蔵されている。

「黒いマンティーラを掛けたフェルナンド」は青の時代とバラ色の時代の中間にあたる作品であり、1905年から1906年に掛けて制作された。作品は、恋人であるフェルナンド・オリヴィエ(Fernande Olivier)の肖像画である。
フェルナンドは、スペインを象徴すると思われるマントを身に付けている。表情は肖像画の様式的であり、控えめに抑えた色調にて抽象的に描写されている。抽象的、実質的なスペイン彫刻の影響を受けて自然主義的な表現ではあるが、バラ色の時代の特徴である抽象的でロマンチックな作風をうかがわせる。
また、作品では、19世紀後半から20世紀のフランス絵画にて描かれた労働者がイメージされているといわれる。当時の風潮と異なり、ピカソは苦境や窮状を主題として、労働者や物乞いなど貧困層に限定して数多くの作品を制作している。
ピカソは、1900年に初めてフランス・パリを訪れた以降、しばらくの間、パリの住居兼アトリエにて制作活動を行った。若く、無名の駆け出しの画家であった為、パリでは貧しい生活を余儀なくされた。
作品は、表現主義やロマン主義の影響を受け、パリでの貧しい生活が反映されている。表現主義やロマン主義では、感情など内面が強烈な色彩や構図にて主観的に表現される。現在、「黒いマンティーラを掛けたフェルナンド」は、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(アメリカ・ニューヨーク州)グッゲンハイム美術館にて展示されている。
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