作品概要
《肘掛け椅子に座るオルガの肖像》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1918年から1918年で、パリ国立ピカソ美術館に所蔵されている。

後にピカソの最初の妻となる、ロシアのバレエダンサー、オルガ・コクルヴァの肖像画である。
彼の昔の恋人達、フェルナンドとエヴァを描いた時と同様に、伝統的で写実的な手法によって、完全なる美しさと彼等の恋愛関係を描き出している。
大理石のように白く、人形のような顔をしたオルガは、我々を物憂げに見つめている。美しく描き上げられた椅子の背と、色彩豊かで半開きの扇子が、彼女の纏められた黒髪とドレスの暗い印象を和らげている。オルガの周りを縁取る青い影は、1914年に描かれた『芸術家とモデル』作中のエヴァの周りに描かれた影と同様のもので、この絵が未完成であるかのような印象を与えている。
ロシアバレエ団に属するオルガの影響で、ピカソは上流社会との交流を深め、このことは彼のライフスタイルに大きな影響を与えた。1918年の春、フランスの詩人、アポリネールが結婚した際に、ピカソはこれに感化され、同年7月にオルガと結婚する。二人はハネムーンとしてフランスのビアリッツに滞在し、同年9月に新居のあるパリに帰還した。
社交的であるオルガとの生活は、当初はピカソにとって大変刺激的で楽しいものであった。また二人は息子、パウロを授かり、彼自身ものちに画家となっている。ただしオルガは、ピカソのモデルとなる際に自身が認識できない作風を好まず、彼の作品に次第に口出しをすることが多くなっていった。ピカソの圧倒的な創作活動へのエネルギーは、彼女との生活の継続ではなく、新たな芸術の発見へとピカソを向かわせた。
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