作品概要
《はりつけ》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1930年から1930年で、パリ国立ピカソ美術館に所蔵されている。

「はりつけ」はシュルレアリスム(超現実主義)の時代の作品であり、1930年に制作された。作品では特定の宗教的描写はないが、ピカソは特定の図形や技法により肉体的・精神的苦痛や生と死のパラドックスを表現していると解釈できる。
「福音(キリスト教の教え)」を主題として、苦痛のパラドックスを「キリスト受難」と呼ばれる瞬間として表現しているといわれる。
ストーリー性を持った作品
作品にはストーリー性があり、人物はデフォルメされて描かれている。キャンバス中央には、十字架にはりつけにされたイエス・キリストが白黒の色彩にて描かれている。一般的に、キリスト受難では赤色が連想されるが、ピカソは白黒の色彩を使用している。
一方、周囲の光景は激しい赤色と黄色にて描写している為、キリスト受難が際立って見える。キリスト受難と周囲の光景を並列して描写することで、芸術的・隠喩的パラドックスが強調されている。ホリー・マザーは鋭い輪郭であり、シンプルな色遣いで表現されている。マグダラのマリアは、略奪者や兵士より少し大きめに描かれている。
ゲルニカへの結実
略奪者は十字架から落ち、兵士はカードゲームに興じている。キャンバス内で最も小さく描かれている人物はキリストの手を十字架にはりつけ、馬に乗っている人物が十字架にはりつけられているキリストを槍で突いている。また、作品の主題である「キリスト受難」は、《ゲルニカ》に通ずると考えられている。
現在、本作はパリ国立ピカソ美術館(フランス・パリ)にて展示されている。
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