作品概要
《エマオのキリスト》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1648年から1648年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

レンブラント転換期に描かれた、宗教画。
この場面は「ルカによる福音書」の一節から題材を取っており、磔にされて死亡したキリストが復活した後の場面を描いたものである。エルサレムともうひとつの町エマオを結ぶ道中で、2人のキリスト教徒はある男と出会い、共に今宵を宿に向かう。
食事をとるために同じテーブルについた2人は、道中一緒になった男が、召使が運んできた食事を取るところを見て恐れおののく。男の後ろには後光が差しており、また夜にも関わらずどこからか一筋の光がさしてて白いテーブルクロスを照らす。
右側のキリスト教徒はあまりにも驚いて思わず体を引く様子が描かれており、左側の人物は目の前に現れたキリストに対して敬意を表すように祈っている。また注目すべきはキリストの表情である。顔面蒼白で苦しげであり、目はうつろである。不気味ともとれるこの表情により、キリストが磔の苦しみを耐え抜いて、また死をも耐え抜き復活したことを物語っている。この作品にも数々のアトリビュートが描かれており、例えばキリストの右側に伏せられている空のグラスであったり、召使が運んでいる子羊の頭の料理などがキリストの「死」を連想させる。
キリストは「神の子羊」とも例えられることがあり、作品中では子羊の頭が2つに割られていることからキリストの死を表しているものであることがわかる。この作品に置いてレンブラントは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ティツィアーノやヴェロネーゼといったイタリア・ルネサンスのモデルを参考にしていることが伺える。
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