作品概要
《ガニュメデスの誘拐》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1635年から1635年で、ドレスデン国立美術館に所蔵されている。

ギリシア神話を題材とするこの作品は、レンブラントがアムステルダムに移住した頃に描かれた。
この作品では絶世の美少年との呼び声が高いガニュメデスが、神々の給仕にさせられるために鷲に誘拐されているシーンが描かれている。神話を題材にしながらも、恐怖に泣きわめくガニュメデスの表情や思わず放尿してしまっている様子など、滑稽な部分も見られるのが興味深い。
なお最近の研究や本作品の修復により、作品の左下部分に連れ去られる息子を必死に追いかける母の姿が描かれていることが判明した。また、ガニュメデスが神々の給仕役となった背景は一般的に以下のようなものである。オリュムポスの神々に給仕するのは、元々大神ゼウスとその正妻ヘーラーの娘、ヘーベーの役割であった。へーべーは青春の女神として知られている。
ゼウスの子である英雄ヘラクレスは死後神々の列に迎えられた。ヘラクレスを憎んでいたヘーラーはようやくヘラクレスと和解し、その娘ヘーベーが妻としてヘラクレスに与えられた。このため神々の宴席に給仕するものがなくなった。ゼウスはガニュメデスの美しさを愛し、ガニュメデスをさらい、オリュムポスの給仕とした。この仕事のためにガニュメデスには永遠の若さと不死が与えられた。また代償としてその父に速い神馬(別伝ではヘーパイストスの作った黄金のブドウの木)が与えられた。またガニュメデスをさらっている鷲については、神々・ゼウス自身・ゼウスが鷲に変身した姿・またはゼウスの使いの鷲など諸説ある。
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