作品概要
《イサクの犠牲》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1635年から1635年で、エルミタージュ美術館に所蔵されている。

モチーフ・背景
本作は、レンブラントを代表する宗教画のひとつとして非常に有名な作品である。
イスラエル国民の祖であるアブラハムと、その妻サラの間に待ちに待った男子が生まれた。2人はその男の子を「イサク}(笑いの意)と名付け、育てる。しかしある日神より啓示があり、イサクを山上で焼き殺し自分に捧げよという。アブラハムはこの啓示に苦悩するが、自ら信仰が深かったため自分の息子を殺して神に捧げる覚悟をする。
意を決したアブラハムはある日、イサクを連れて山に登りに行く。アブラハムは雄山羊を、息子のイサクは薪を担いで山に登り、そこでアブラハムはイサクを短刀で刺して殺害しようとする。(イサクも自らの運命に薄々気づいていたものの、あえて抵抗はしなかったという)アブラハムが振りかざした短刀がイサクののど元を切り裂こうとするその瞬間、「お前が神を恐れる者であることがわかった。」という神の祝福の言葉が天に響く。
神は続けて「お前の子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る」とアブラハムを祝福するという、旧約聖書に書かれた「イサクの犠牲」を見事な臨場感で描いたのが本作である。
臨場感を描いたレンブラント
作品の中では、まさに愛する息子に短刀を突き立てようとする瞬間、神の使いである天使が舞い降りてアブラハムを止めて、神の祝福を得るシーンが描かれている。
空中に舞う短刀によって、まさに危機一髪の瞬間であったという臨場感が伝わってくる。光と影によって、躍動感溢れる光景を描いたレンブラントの技巧の高さを代表する作品。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。