作品概要
《ダナエ》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1636年から1636年で、エルミタージュ美術館に所蔵されている。

英雄ペルシウスの母、ダナエが主神ゼクスと交わるギリシャ神話の一場面を描いた作品。レンブラントの作品の中では珍しく画面が明るく、若さや喜びが表現されている。
「孫に殺されることになる」という予言により父アルゴス王アクリシオスは娘のダナエが子を身篭らないように塔に幽閉した。しかしダナエの美しさは主神ゼクスに見初められ、黄金の雨に姿を変えたゼクスとダナエは交わる。ダナエは後に英雄となるペルシウスを身ごもり、アクリシオスは大人になったペルシウスによって予言通り殺されてしまう。
ギリシャ神話の中で最も美しいとされるダナエは画面中央にほぼ等身大の大きさで描かれた。制作当初はレンブラントの最初の妻であるサスキアをモデルにし、後にレンブラントの愛人であるヘーヘルトの顔に描き直されている。わざと荒いタッチで表現することによって肌の質感や肉体の柔らかさをリアルに表現することに成功している。画面中央のダナエはまだ姿の見えないゼウスに右手を差し伸べ、幸福の表情で受け入るかのように見え、画面奥にいる年老いた召使もダナエと同じ方向を見ている。ダナエの頭上にいる黄金のキューピッドは手を組み、悲しみの表情をしている。キューピッドは中世ヨーロッパにおいて純潔の象徴であり、悲しみの表情は幽閉されたダナエの不自由な身を嘆いているという説もあるが、実際の理由は不明なままである。
1985年6月、展示中であったダナエは精神疾患を抱えた青年によって硫酸をかけられ、ナイフによって二度切りつけられた。そのため長きにわたって修復が試みられ1997年に再公開されたが、損傷が激しかったため完全に復元することはできなかった。
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