作品概要
《エジプトへの逃避行上の休息のある風景》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1647年から1647年で、アイルランド国立美術館に所蔵されている。

描かれている主題は聖書が伝える「出エジプト記」の様子である。「ユダヤ人の王」が誕生したことを知ったヘロデ王はベツレヘムにいる2歳以下の全ての子供を殺すよう命じたが、幼いキリストを救うため天使が遣わされ、ヨセフにエジプトへ出奔するよう告げるのである。
この躍動感のあるモチーフは中世から人気のある主題であるが、レンブラントの作品の中ではその存在感は小さい。彼はむしろ夜の光に照らされた丘の霊妙な空気感に重点を置いており、それゆえに当作品は通常レンブラントの9つの風景画の1つに数えられる。この9つの小さなグループの中では唯一の夜の風景である。聖家族がこのように風景の一部となって描かれることは珍しく、唯一同様の描き方を採用したのはミュンヘンのアダム・エルスハイマーであるが、レンブラントは恐らくエルスハイマーを真似たのであろう。
暗い丘の裾に立つ木の下で、マリアとヨセフは火を囲んで座る。頭巾をかぶったマリアは腕の中で幼児キリストをあやし、ヨセフは膝を丸めてそれを見守っている。彼らの向かいには羊飼いが膝をついで火にあたり、その後ろで別の羊飼いが牛と羊たちと共に立っている。水面に映りこんだ炎と人物、動物たちは画面の前景をほぼ占めており、残りの景色はほとんどが暗がりに覆われている。
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