作品概要
《宦官の洗礼》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1626年から1626年で、カタリナ・コンベント博物館(ユトレヒト)に所蔵されている。

描かれているのは、新約聖書の使徒言行録8章26節から40節に登場する、使徒フィリップとアフリカの宦官のエピソードである。エチオピアの女王の財産を管理していたこの高官はエルサレムからガザへ向かう道すがらイザヤ書を朗読していたが、聖霊に遣わされたフィリポから福音を伝えられ、そして洗礼を希望して受け入れられた。聖書によれば、この宦官がユダヤ人以外で洗礼を受けた最初の異国人だということであり、エチオピア教会の起源だといわれている。
人々は彼らの馬車から飛び降りてすぐのように描かれている。宦官は小さな泉のほとりに膝を沈め、フィリップはその頭上に水を注いでいる。背景の車、馬上の男やその他のムーア人ら一行は、ドラマチックと言えるほどまとまって描かれている。
レンブラントはこの聖書の物語を繰り返し描いており、1626年に初めて描いた後、1631年頃に再び描いているが、こちらは現在は失われている。1641年には2つのエッチング作品でこの主題を仕上げた。
初期の2作品は明らかに師ピーテル・ラストマンの影響を受けているが、というのもラストマンも同主題を4度も描いているのである。この作品は1631年より後に描かれた複製ではないかとしばしば議論されるが、オリジナルがすでに存在しない以上、その真贋判定は極めて難しい。
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