作品概要
《神殿から両替人を追放するキリスト》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1624年から1624年で、プーシキン美術館に所蔵されている。

この作品は新約聖書中の、イエス・キリストが礼拝所で商売をする行商人たちに憤り、彼らをことごとく追い出したエピソードに題材を得ている。
レンブラントはこの作品以外では見られないような切迫したキリストの、頬を赤くし激怒しながら鞭を振り上げる感情的な姿を描いた。鞭は振り上げた勢いでぶれており、今にも振り落とされようというスピード感に満ちている。
手前では老人が慌てふためいて逃げようとし、両替人は鞭から顔を守ろうとし、または小銭をかき集める者、驚く者など一瞬の空間が生き生きと捉えられている。オーストラリアのビクトリア国立美術館にレンブラントによる同じ主題の秀逸なエッチング作品が残されているが、当絵画はエッチングの10年ほど前に描かれたもので、事件の同じ瞬間を捉えたクローズ・アップバージョンともいうべき作品となっている。
キリストの熱意は彼自身を消耗させるが、この熱意はまた制御のできない暴力となる。この作品に描かれた出来事は、キリスト教が歴史上でしばしば行ってきた支配的な方法を示しているのかもしれない。
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