作品概要
《第一執政官ナポレオン・ボナパルト》は、画家のジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルによって制作された作品。制作年は1803年から1804年で、クルティウス博物館に所蔵されている。

制作の背景
ナポレオンは肖像画のために長時間モデルを務めることを嫌っており、アングルに許されたのは短時間の面会だけであった。このためアングルはアントワーヌ=ジャン・グロによる1802年の彼の肖像画をベースにしなければならず、その結果本作のナポレオンの表情は堅苦しいものになっており、色彩効果や設定の描写に焦点が当てられた。
ナポレオンは、1794年にオーストリア人が灰燼に帰したベルギーの都市リエージュを再建する費用を捻出したことを記念し、このアメルカールの郊外の街に提供するための肖像画を依頼した。依頼を受けたとき、アングルは23歳であった。
フランスとカトリック教会の関係
窓からはリエージュの風景――実際にはリエージュ革命の際に破壊されていた聖ランバート大聖堂――が見える。フランスとローマ・カトリック教会は、1790年の聖職者民事基本法成立以来、敵対関係が続いていたが、本作における再建された大聖堂は、教皇との良好な関係と、フランスが1801年のコンコルダートによりカトリック教会に付与した「保護」を象徴していた。
描写
ボナパルトは、革命家としての青いジャケットではなく、グロが描いたように第一執政官の赤い制服で示されている。コートの中に手を入れるポーズは、安定した指導力を示すため、支配者の肖像画によく使われていたものである。この作品は、コートの赤いベルベットや家具の暗いベルベットなどの質感を表現する際の画家の驚異的な能力を明らかにしている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。