作品概要
《永遠》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1935年から1935年で、MoMa(ニューヨーク近代美術館)に所蔵されている。

1935年のこの作品の面白いところは、牛乳屋と古道具屋から材料を得て作り出されたという点だ。そして、マグリットの求めている『目に見える思考』が読み取れるような透明性が存在するも、だれが描いたのかわからないほど丁寧に表されている表現技法に驚くのである。
元々は、マグリットの友人のクロード・スパークが彼に言ったアイデアから生まれたものだった。スパークは、ある美術館に2点の絵画が壁に展示されていてその間に大きなハムの塊が同じように展示されていたらなんと面白いだろうねとマグリットに話したそうだ。このアイデアにすっかりとりつかれたマグリットは、美術館に展示されている3台の展示スタンドの上に、ヘルクレスとダンテ、中央には大きな豚の頭でパセリが耳に、レモンが口に入れられた物の絵を描くことを思いつく。そして最終的に落ち着いた作品がこのようになる。
どこかの美術館の支柱に張られた赤い綱、観客と作品とを隔てる物、その向こうには台座にのった三つの物体がある。キリストとダンテの頭部の彫刻が左と右にそれぞれ乗せられている。そしてその間、もっとも注目をするセンターにはなんと人の頭ほどの大きさのバターの塊が! 溶けてしまいそうな危うさがある。マグリットは芸術作品をあざ笑うと同時に別の価値を得ようとする意図を表そうと努めている。
『画家の意思によってバターの塊は古典的な過去を連想させる彫刻たちと永遠を共有しているのである。』バターは聖書と神曲の間で危うい儚さを具現している。そこにはユーモアも存在するが、物の区別と言うものがいかに見る人によりこだわりを持って、または気ままに認識をしているかを考えさせられる。そして、すべてがおなじようにこの『(永遠)の罠にはまるのである。』
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