戴冠式のジャンヌ・ダルク

《戴冠式のジャンヌ・ダルク》は、フランスの新古典主義の画家ジャン＝オーギュスト＝ドミニク・アングルによって1854年に制作された油彩画である。現在、ルーヴル美術館に所蔵されている。

古典主義とロマン主義のハイブリッド

アングルは、伝統的な技法と実験的な感覚を巧みに融合させ、古典主義およびルネサンスの源泉を、19世紀向けに再考した画家である。巧妙な描写と幻想的な質感を備えた流れるような曲線で知られる才能のある人物であり、「線や色が絵画の最も重要な要素なのであろうか」という古典の復興議論の中心にいた。

しかしアングルは必ずしも成功していなかった。身体を抽象化し、よりエキゾチックかつ感情的に複雑な対象を描いた彼の実験は、初期のキャリアにおいて厳しい批判を受けた。実際には、彼の作品は新古典主義とロマン主義のハイブリッドとしてよく理解されている。アングルが伝統的な絵画や古典主義の擁護者として広く受け入れられるようになった結果、彼はより劇的なロマン主義画家であるウジェーヌ・ドラクロワの引き立て役としてもみなされた。

ジャンヌ・ダルクの戴冠式

この作品は、アングルの師匠であるジャック＝ルイ・ダヴィッドのスタイルとトルバドール様式のスタイルを融合させている。彼は裸のモデルから描き始め、その後服と鎧を付け加えた。

本作は、ジャンヌ・ダルクをしのび、オルレアンのアカデミーの会長によって依頼された作品である。ランスの大聖堂で行われたシャルル7世の戴冠式で、彼女は誇らしげに天を見上げ、フランスに勝利を与えたと感じた。彼女の左には、修道士ジャン・パケレルと召使いがいる。召使いは、画家の自画像である。場面は、一帯を照らす光、豪華なオブジェや豊かな色で描き出されている。