作品概要
《栄誉》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1948年から1948年で、ワシントン、ハーシュホーン彫刻美術館に所蔵されている。

マグリットが絵を描いていたダイニングテーブルの上にはミロのヴィーナスの石膏彫像が置かれていたという。妻、ジョルジェットと同じようにモデルになることが多いその像は頭部のない女性を描くときによく使われたようである。この作品『栄誉』では女性の裸体が描かれているがやはり頭部はなく両腕も欠落している。
ボディーの部分は分割され、それが入れ子のように上に向かって段々小さくなって3段となっている。浜辺を眺めるバルコニーのようなところに置かれていて脇には火のついた蝋燭が燭台に立てられている。また海の向こうにはマグリットの青い空と雲が広がっているが、空の部分、部分が立体の箱のように切り取られてあちこちに不揃いに並べられていてその中をゆったりと空色の気球が一つぽっかりと浮かんでいる。
1948年のこの作品は実は1927年に作成した油彩画『脅威の重要性』を美しく書き直したものである。そちらでは体が骨盤、腰、小さな頭がついた上半身、人形のような腕が四つの入れ子式になって描かれていて、やはり海を背景にしているが、防護壁のような物からその体が飛び出している。また1927年の『ファントマの妻』でも同じように描かれている。
『栄誉』では三つに分けられた頭と腕が欠落しているボディー、昼間なのに火のついた蝋燭、青の立方体が浮かぶ空とその雄大さを際立てさせている気球、どれもが冷ややかな作り物のような不思議さを表している。しかしなんとも雄大で落ち着いた一つのシーンを構成しているように思える作品だ。
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