作品概要
《囚われの美女》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1931年から1967年で、シドニー、ホガース・ギャラリーに所蔵されている。

トロンプ・ルイユの作品
シュールレアリズムの手法である、トロンプ・ルイユ(目を欺く)を使った作品である。いわゆる現代のトリックアートと呼ばれるものだが、マグリットは真実を隠蔽するときによく使っている。
絵の中に描かれた絵画
この作品は1931年、35年、47年の版があり、絵の中に描かれた絵画のシリーズである。それぞれタイトルは同じでも少しずつ違っている。1931年の作品は、大草原の小高い丘の上に大きな木が一本あり、その脇には透明なキャンバスが立てられている。そこにはその先にあるであろうという風景が描かれている。
よく見ると透明なキャンバスではあるがそこに映るべきイーゼルの足は写っていないし論理的にはありえないものだ。我々には多分そんな風景が周りの延長線で考えた時にあり得るためあまり疑問には思わない。しかしそれは絵の中のもう一枚の絵である。それは真実であろうか。もしかしたら全く違った風景が展開しているのかもしれない。
<2>人間の条件への結実
見るという行為と真実を認識することは必ずしも同じではないのである。そして本作品の2年後にマグリットは、《人間の条件》という作品を完成させている。こちらもまた絵の中の絵のシリーズの一つである。
彼は友人であり作家のポール・コリネーへの手紙の中でこう語っている。
「そこに描かれたものしか認識できないのであればこの絵の意味を問う資格はない。何が描かれているかは説明できるが、どんな真実がそこに存在するかは見る者のアイデアとフィーリングなのだ」
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。