作品概要
《絶対の探求》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1940年から1966年で、個人蔵に所蔵されている。

第二次世界大戦中、マグリットが住んでいたベルギーはドイツ軍に占領され一時戦場となった。マグリットにとってはそれが厳しい現実であったため絶望感をいだきながら非現実の世界を通して現実を見ていたのではないだろうか。
『絶対の探求』の作品には荒涼とした大地に葉っぱが枯れ落ちた一本の木が描かれている。そしてその向こうには太陽が輝いていてどこにでもある一時を切り抜いたような風景にも見える。しかし、この作品は『空気の平原』という作品と対をなすようになっている。こちらの作品では広々とした空を背景に一本の木に見える一枚の巨大な葉っぱが大地に立っているのだ。
両方の作品には同じシルエットの『木』が描かれているにもかかわらず『空気の平原』をみるとそれが木ではなく、巨大葉の葉脈が透けて見えていたことがようやくわかってくる。それが『木』であるか『葉』であるか、その固定観念は絶対ではなくある情報を知らなければ違う認識をしてしまう。
知っているかどうか、十分な情報が与えられているかどうかで人間は実は絶対的なものを誤ってみている可能性もあるのである。また、葉が枯れ落ちて荒地となってしまうこの作品には何かの終わりを感じさせるものがある。絶対的な真実とは自然において『死』ではないだろうか。『死』に直面し戦争による生きることへの絶望感から本当に絶対的な物を探求していったマグリットの生への問いかけとでもある作品ではないだろうか。
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