作品概要
《シェヘラザード(1948年版)》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1948年から1948年で、ベルギー王立美術館に所蔵されている。

シェヘラザードとは、千夜一夜物語の語部に登場する伝説上のイラン王妃を指す。同じタイトルで幾つかのヴァージョンが残っているが、それぞれ少しずつ違っている。
どれもおそらくエドガー・アラン・ポーの作品、これもまた千夜一夜物語からアイデアを受けた『シェヘラザードの千夜一夜物語』からインスピレーションを経たものだと思われる。オリジナルの千夜一夜物語は、国の若い女性と一夜を過ごしては殺していくという王の行為をやめさせようと大臣の娘、シェヘラザードが自ら王のもとへ嫁いでいく。そして彼女は毎夜王に興味深い話を語る。話が佳境に入ったところで「続きはまた明日」と打ち切るため、王は話を聞きたいがため彼女を生かしておいたという話だ。
マグリット得意の構図
マグリットの本作は、画家得意のモチーフである鈴や白い雲が浮かんだ空、水に沢山の真珠で型どられた女性の目と口、そして背後の美しい風景がカーテンにより見え隠れてしているという構図となっている。王妃の両目と口だけを描いたのはベールに包まれたアラビアンナイトの女性のイメージであろう。その美しさの裏には虚飾と虚栄とエロチシズムが感じられる。
そして、カーテンの向こうで見え隠れしているのはバベルの塔だろう。鳥の巣になってしまい周りは廃墟だ。語り手である大妃の後ろに見えるカーテンで、我々はすこしだけ向こうの世界を垣間見ることができるが、大妃はいったい我々にはどんな物語を語ろうとしているのであろうか。
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