作品概要
《レスラーの墓》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1961年から1961年で、個人蔵に所蔵されている。

部屋いっぱいに描かれた巨大な赤いバラの花。あまりにもゴージャスでインパクトが強く花に魅せられてしまい、我々は部屋のディテールや窓の外の雪景色などを見過ごしてしまいそうなほどだ。
この作品のインスピレーションはある日、マグリットの親友でありニューヨークの弁護士で詩人のハリー・トルツイナーとの会話にある。
彼らはソビエト連邦で見られるタシスムについて議論をしていた。タシスムとは新しい抽象絵画でフランス語のタッシュ(シミ)から来ているように、絵の具を投げつけてしみのように見せたりする手法で、マグリットは受け入れていなかった。そしてトルツイナーに『彼らは白いキャンバスに白い絵の具で描き、これが作品だ』と主張しているにすぎないといった。
それに対してトルツイナーは『真っ白な部屋に真っ白なバラの花、窓の外は真っ白な雪に覆われているという絵』を書いてみろと反論した。そして出来上がったのがこの作品である。ここには最低限の白しか使われていない。どうしてであろうか。
マグリットの解釈としては、真っ赤なバラの色は当時(1960年)トルツイナーが訪れたソビエト連邦のイメージとスターリンの死後のソビエト連邦に対しての心情を反映させたものらしい。政治的でもあるが哲学的なコンセプトが基本にある作品であるようだ。
タイトルだが、フランスの象徴派の作家、レオンーアリニエン・クラデルの小説からアイデアを取ったと言われている。
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