作品概要
《無謀な企て》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1928年から1927年で、豊田市美術館に所蔵されている。

『無謀な企て』では画家(おそらくマグリット自身)が空間に裸婦を描いている。これがキャンバス上に描いているのなら何の不思議もない作品になるのだがマグリットは画家と描く絵を同じ空間において見る者を大いに騙している。
1925年以降マグリットは抽象的なモチーフでの実験を断念し、「目に見えうる物を詳細に描くこと」だけを行うことにした。しかしマグリットは目に見え得るものをそのまま描くだけの画家ではない。実世界にあたかもチャレンジするごとく、それらを不思議なシチュエーションの中に描いた。それからはパラドックとコントラストが彼の反復的に見られるモチーフとなっていく。パラドックスとは一見心理に反するように見えるようだが実は一種の心理を表している、もしくはその反対。コントラストとは対比、比較。この二つの全く異なるコンセプトをマグリットはうまく混成し、自分らしい新しいコンセプトを作り上げ作品の基本とするようになる。
他にもマグリットはイリュージョンや視覚的認識の混乱を好んでいた事が作品上に現れている。同時代の画家のサルバトーレ・ダリは幻想や夢をモチーフに多く使っている。しかしマグリットは本当に見える物だけにモチーフを限定しているのが大きな差であろう。
画家が裸婦の絵を描いている、どこにでもありそうな風景だがマグリットはそれに新しい意味や認識を与えようとしている。彼は我々に今までとは違う視点から、新しいマインドでそれらを見直してみるように求めている。
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