作品概要
《放蕩一代記(6,賭博場)》は、画家のウィリアム・ホガースによって制作された作品。制作年は1732年から1735年で、大英博物館に所蔵されている。

『放蕩一代記』は1735年にウィリアム・ホガースが自己の絵画を元に版画として作成した八枚組作品で、六枚目では場所がロンドンのコヴェント・ガーデンに戻り、ソーホーのホワイト・クラブの中にある賭博場での一場面が描かれる。
ホワイト・クラブは通称ホワイツと呼ばれ、元はイタリア移民フランチェスコ・ビアンコ(英語ではホワイトの意)が出したホット・チョコレート提供の喫茶店、『ホワイト夫人のホットチョコレート・ハウス』が起源であり、キングズ・シアターやロイヤル・ドゥルーリー・レーン・シアターのチケットを売りさばく副業を始めてからやがてそれを主要な仕事に変え、排他的な社交クラブの建物となり、18世紀当初は賭博場として悪名を轟かせていた。
近世のロンドンにおける賭博の流行は猖獗を極め、時代が下ってからは王家が議会に賭博借款返済のための資金供出をねだるほどの状態であったという。
絵の中央で、カツラが外れていることを忘れるほどに激高したトム・レイクウェルが、手に入れた新しい財産を賭け事で全て失ってしまったために、神に奇跡を祈り、拳を高くつき上げている。片膝をつくその傍には、彼が財産を失う原因となったサイコロが転がる。財産を失ったのはトムだけではなく、その隣で仮面と銃を懐に隠した追剥ぎもまた、茫然として座り込んでいる。傍の小さな少年が酒を進めてみるものの、とても酒すら飲む気になれない表情を浮かべている。
賭博に興じる人々は、ドアの側にいる賭博場の元締め達を除き、、背後のドアから漏れてくる煙の存在に気が付いていない様子である。恐らくは扉の向こうで、火事が起きている。
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