作品概要
《放蕩一代記(1,後継者)》は、画家のウィリアム・ホガースによって制作された作品。制作年は1732年から1735年で、大英博物館に所蔵されている。

『放蕩一代記』は、1732年から1735年にかけてウィリアム・ホガースが作成した8枚組の油彩画と、それに原案を求め加筆を加えた銅版画である。油彩画はサー・ジョン・ソーンズ美術館に所蔵されている。本稿では大英博物館に所蔵されている版画を扱う。
この一連の作品の主人公はトム・レイクウェルという浪費家である。裕福ではあったが吝嗇な父親の急死によってトム・レイクウェルはその遺産を相続し、ロンドンに上京して、賭博、売春、豪奢な生活によってその富を食いつぶし、債務者監獄のフリート監獄に投獄され、ついにはベドラムのベツレム精神病院で一生を終える、という物語が、8枚の連作によってつづられる。
第一話の場面は、ジャコバイト様式の屋敷のとある部屋で、主人公トム・レイクウェルが遺産を相続した後、衣服を新調しようと、仕立て屋に自分の体を図らせている様子を描く。既に彼は英国慣習法上の妻を得ており、その女性が彼の隣で(婚約指輪と恋文を携えながら)悲嘆にくれる召使の女性サラ・ヤングである。トムは金貨を差し出して婚約を破棄しようとしており、サラの母親は娘の腹部を指さし、彼女が妊娠していることを仄めかす。
後ろで弁護士が財産目録を見分しながら、金貨を数えている。暖炉の上にかかる肖像画の亡レイクウェルはがめつく金を勘定している様子であり、その上には三つの壊れた万力を掲げた家紋が、「目を覚ませ」というモットーと共に飾られている。
腹をすかせた猫が食べ物を漁るも、餌は見つからず、トムの父親がいかに食糧一つ、薪一つに金を出し惜しんでいたかが推測される。版画版では、革靴の皮を張り直すために聖書の革表紙を剥がして使うほどの節約が行われていたことが描かれている。
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