作品概要
《娼婦一代記(4,モル、ブライドウェル監獄で麻を打つ)》は、画家のウィリアム・ホガースによって制作された作品。制作年は1732年から1732年で、大英博物館に所蔵されている。

『娼婦一代記』は、1731年に絵画として、また1732年には版画として作成されたウィリアム・ホガースの六枚組作品で、この絵はその四枚目である。
モルはブライドウェル監獄に収監され、絞首刑者の首つり縄用の麻を打ちすえている。監獄の中には、捕まって刑罰にかけられた売春婦やトランプ賭博の常習者が並ぶ。モルの隣では、杖を携えた看守が立ち、手厳しくモルの作業に注意をしている。フィールディング作『トム・ジョーンズ』でジョーンズを扱き倒す教育者の一人、スワッカムと言う登場人物が、この男の描かれ方にとよく似ていると解釈されている。
その看守の妻は、夫がモルの気を引き付けている間、夫に目配せしながらモルの服を盗んでいる。絵の構図を見ると、左から右にかけて富める者から貧しい者の順番で人物が描かれていることがわかる。モルの右にいるのはトランプ賭博で財産を無くした紳士で、犬を連れている。「立っているよりは働いた方がまし」と書かれた枷に繋がれている男は、働くことも拒否して身を任せているようである。
囚人たちには更生の余地すら与えられていないように見受けられる。紳士の隣にはダウン症を患っている女子がいて、その隣には身重のふりを装ったアフリカ系の女性がいる。身重であれば刑の執行を逃れることができたからだ。壁の落書きには、ジョン・ゴンソンが縛り首になっているところが描かれている。看守の妻がモルの服を盗んでいるところを見ながら、二枚目で現れた召使が、同じようにモルの靴を盗んでいる。
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