作品概要
《三人寄れば文殊の知恵》は、画家のウィリアム・ホガースによって制作された作品。制作年は1724年から1724年で、ボストン現代美術館に所蔵されている。

別名『英国演劇小景』は、ホガースの作によると言われる無記名の版画。英国演劇の運営が、堕落しきった姿に描かれ、風刺された作品であり、1723年にホガースが『仮面舞踏会とオペラ』で英国戯曲界の風潮を批判した作風の流れを汲む一作でもある。1727年にはこの風刺を継承した『仮面舞踏会チケット』も作成された。
1724年11月、バートン・ブース、ロバート・ウィルクス、そしてドルゥーリー・レーン劇場支配人コリー・キバーらの3人が、『ハーレクイン・シェパード』―有名な脱獄王ジャック・シェパードの名を冒用したジョン・サーモンド作の戯曲―を演じたところ、ホガースの創作意欲に火が付いた。演劇自体はひどくお粗末なもので、たった七公演で千秋楽となったが、ホガースの目には自らを高尚と恃むドルゥーリー劇場の興行者らがリンカーン・フィールドのジョン・リッチに対抗しようとしている魂胆が透けて見えた。リッチは英国でパントマイムの一大ブームを巻き起こしてはいたが、その演目は芸術性よりも見世物として作られていたのである。
版画は1724年12月10日付けデイリー・ポストの号外版として6ペンスで発売された。広告の文句は「この版画、三人寄れば文殊の知恵なる新しい喜劇の予行演習を活写せしものなり。」ホガースお得意の構図である台詞入りバナー、主要人物のラベリングによる仄めかしがこの版画には散見され、同年に出版された『英国演劇』においてもこれは同じである。三人の興行主がハーレクイン・シェパードとフォースタス博士を混ぜ込んで人気を取ろうとする極端さがこの版画では描写される。
版画の中にはホガースが巧妙に、描きたいものをバラバラにして混ぜ込む手法で仕掛けた描写が、パントマイムやそこかしこの物に埋め込まれている。桂冠詩人ジョンソンの幽霊は(フォースタス博士の一場面をもじってのことであろう)足の壊れたローマ兵の彫像が小便をする穴から現れる。両端の像は喜劇と悲劇の死を意味し、顔は隠されている。シェイクスピアの『マクベス』、『ジュリアス・シーザー』、『ハムレット』、そしてコングリーヴの『世の習い』が便所紙として汲み取り便所の前に貼られている。
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