作品概要
《反優美》は、画家のウンベルト・ボッチョーニによって制作された作品。制作年は1912年から1912年で、アメリカに所蔵されている。

《反優美》はウンベルト・ボッチョーニによって1913年に制作されたブロンズ彫刻である。この作品はニューヨークのリディヤ・ウィンストン・マルビン・コレクションに所蔵されている。
オリジナルの石膏像はローマの国立近代美術館に所蔵されており、そこからロストワックス鋳造により1950年から1951年に制作されたのがニューヨーク版の像である。ただし、ローマの石膏像はオリジナルに存在した頭部の線がのちに失われており、このニューヨークの像が、作品の当初の様子を最もよく伝えている。
ボッチョーニの試み
ボッチョーニはこの作品で、ヨーロッパの芸術の伝統的な概念、つまり美しいものを魅力的に表現するという考えを否定しようと試みている。人物の顔は歪められ、いくつかの平面に分解されている。平面に分解するという点で、この作品におけるピカソのキュビスムの影響は明らかであるが、一方でボッチョーニはリアリスティックな表現にとどまってもいる。
彫刻作品における問題点
この作品は1912年の油彩画《水平のボリューム》を彫刻に移行して表現したものだが、油彩画において達成していた総合的な抽象化は彫刻においては失われてしまった。絵画では存在していた色彩とセントの調和や、背後の空間といったものが彫刻には存在しないため、表現媒体と表現される対象との関係があまりに動的になってしまった。その結果、形態は素材の厚みや重みから開放されず、鈍重なものになってしまっている。
ボッチョーニら未来派の重視する「動き、ダイナミズム」は、ここではまだ十分に彫刻として表現されていない。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。