作品概要
《婦人の肖像》は、画家のピエト・モンドリアンによって制作された作品。制作年は1915年で、ハーグ市立美術館に所蔵されている。

《婦人の肖像》はモンドリアンがこれまでほとんど描いてこなかった人物を対象にした作品の一つである。
作品背景
1911年パリへ移住したモンドリアンはキュピズムの代表的な画家、ピカソとブラックに影響を受ける。モンドリアンは彼らとの出会いを機に画風だけではなく思想に至るまで彼らに傾くことになる。
ピカソはよく、画家は自然と女性とを支配下に置かねばならないと語っていた。そして自身の作品の中でも言葉通り、女性の姿を好きなようにまた巧みにばらばらにしたり組み合わせたりなどしてそれを実演して見せていた。
作品概要
本作は、恐らくこのパリへ移住してすぐに制作されたものと考えられる。ここでは女性の姿が薄暗い画面の中に溶け込んでいるように見える。そしてその女性の姿は画面に網の目のように広がる線によって、四方八方から絡め取られている。本作には女性特有の丸みを帯びたフォルムと線の縁取りのように角張っているところの両方が見受けられる。その点について当時モンドリアンは次のようなメモを残している。「女性は本質的には芸術や抽象概念に刃向かう存在だ。(中略)芸術家というものは女であるとともに男であるから、女は必要ではない。」モンドリアンが作品の中心に女性の姿を置くとき、もしかしたら彼はこのように女性というものを捉え、自分の作品を通じて所有することができると言いたかったのかも知れない。こうした考えは、自然と女性を支配するというピカソの観念に非常に近いものを感じざるを得ない。
そして黒い線の網の目はこの時以来、彼の絵画の中で以前のアーモンド形と同様、常に同じ機能を担うことになった。
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