作品概要
《書き物をする頭巾を被った少女》は、画家のピエト・モンドリアンによって制作された作品。制作年は1896年から1897年で、ハーグ市立美術館に所蔵されている。

《 書き物をする頭巾を被った少女》はまだモンドリアンが青年期に通っていた美術学校で描かれた作品とされている。
作品描写
モンドリアンの作品では珍しいクレヨンで描かれた本作はおそらく美術学校の授業中に制作されたものであろう。師のアウグストアレべは、アトリエでポーズを取るモデルを、実生活の一場面にいる人物であるかのごとく描くようにと教えた。この教師のスケッチブックの中に描かれた少女たちは疲れたダンサーや女優の姿をしているがひょっとしたら実際にそうであったのかもしれない。それに対してモンドリアンの場合のモデルはまるで絵本にでも出てくるような糊のぴんときいた頭巾と前掛けをつけた田舎の少女で苦労をしながら書き物をしているように見える。
創作背景
ただ机の代わりに石鹸の塊がおいてあることから、場所が実際にはアトリエであることがわかる。モンドリアンはその当時既にはほとんど失われていた伝統的な生活をあたかも存在しているかのように描くため、アトリエに人工的なセットを設えた。過去を重んずる彼にとってこのような作品を描くことはごく自然なことだったが、このようにして生み出されたものは製図板状でデザインしたような虚像にすぎなかった。このスケッチに一部定規を使って引かれた線があることやモデルの姿勢を見ると手足や体が直角をなしていることなどそれをはっきりと裏付けている。
そしてこのような作品たちは、モンドリアンがそのおかげで今は廃ってしまった生活に想いを馳せているようにも感じられる。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。