赤い風車

作品背景

ドイツロマン派の画家の多くはしばしば光を作品に描いていた。それは太陽の光があるからこそ色彩として絵画に輝きが現れると考えており太陽を通して神への崇拝を表現していた。しかしモンドリアンはそういった表現を作品には一切取り入れようとしなかった。彼が尊敬してやまないフィンセント・ファン・ゴッホさえ、彼なりの独自の色彩で光を表現していたのにもかかわらずである。

作品概要

本作でも、まるでチューブから直接絞り出したかのように、赤や青や黄の絵の具をそのまま組み合わせた。どちらかと貢えば荒っぽい着色のおかげで作品は攻撃的な様相を帯び、作品全体から激しい色彩が突出している。モンドリアンが以前にたびたび描いた情緒的な穏やかな風車のモティーフと異なり、ここでは彼は力強く輝く1つの構成を見いだしているのである。ゴッホと出会って、表現力にあふれた色彩豊かな絵画へと劇的な変身を遂げたが、それと同様にモンドリアンもフランスの新印象派やフォーヴィスムと接触することで作品の核心に本質的な影響を受けたのであった。

本作を機にモンドリアンの名はオランダ全土に広がることとなる。