作品概要
《牢獄の聖ペテロ》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1631年から1631年で、イスラエル美術館に所蔵されている。

ペトロは新約聖書に登場する人物で、イエスキリストに従った使徒の1人である。「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」によれば、ペトロはガラリや湖で弟アンデレとともに漁をしていていたところイエスに声をかけられ、最初の弟子となったという。
ペトロは弟子の中でも筆頭に挙げられており、弟子たちのリーダー的な存在であったと言われている。またヤコブとヨハネとともにイエスの変容を目撃している。イエスの受難においてイエスを否認したことは全ての福音書に書かれているが、「ヨハネによる福音書」によれば、イエスの復活時にはヨハネとともにイエスの墓に駆けつけたという。その後は各地をめぐったというが、「ペトロ行伝」によればローマへ宣教し、ネロ帝の迫害で逆さ十字架にかけられて殉教したとされている。
暗闇の中粗末な衣を着たペトロが佇んでいる。その表情からは絶望的な感情を読み取ることができる。光のハイライトはペトロの表情と、足元の鍵をてらしている。「わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上でも解くことは、天上でも解かれる」との「マタイによる福音書」の記述からペトロは天の国の鍵をもつ老人として描かれることが多い。
ペトロの手よりも大きい鍵は異様にも思えるが、アトリビュートとして、また天の国の鍵としてふさわしい印象を与えている。ペトロと鍵、そのふたつに光が当たることによってまさに神の意志であることが示されている。
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