作品概要
《エマオの晩餐》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1629年から1629年で、ジャックマール=アンドレ美術館に所蔵されている。

本作で描かれているのは、ルカによる福音書(24:30-31)に書かれているエピソードである。エマオとは地名であり「温かい井戸」という意味がある。
エルサレムから11km離れたところにあり、キリストの弟子であるクレオパともう一人の弟子が対していた時、復活したキリストが現れた地であるという。エマオに向かう途中の道で、クレオパは一人の男に出会う。弟子たちは夕食に招待し、その席で男はパンに祝福を与えて割いてみせる。
その行為でクレオパたちは男が復活したキリストであると分かるのだが、その後すぐにキリストは消えてしまう。薄暗い室内は印象的な遠近法を用いて描かれている。奥では小さな灯りを頼りに食事の用意をする人物が描かれている。手前にはテーブルに着く二人の男。テーブルの上には夕食であろうパンのようなものが見られる。
クレオパと思われる光のあたっている男は、ゆったりとしたガウンを着ているが、目は驚きに見開かれている。その表情を光のハイライトが劇的に照らしている。対してその影になっているのが一番手前の男である。ゆったりとした衣服に肩に斜めに布をかけ、手を組んでいるように見えるが、表情に至っては定かではない。
ウェーブがかった髪や口ひげがキリストであることを示唆している。
光がつくりだす影はキリストの正体を隠しているが、その一方で頭部には光があたり光輪のように見えることで確かにキリストであることを示しているようでもある。
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