作品概要
《足の手術》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1628年から1628年で、個人蔵に所蔵されている。

ほのかな明かりが満ちた室内。黒のガウンと帽子をまとった老人は眼鏡をかけ、椅子に座るもう一人の足を観察している。おそらく医者であると思われる。この老人は赤の上着を着てズボンを履いており、片方の革靴は椅子の下に置かれている。その隣には老人の持ち物だろうか、籠が置かれている。老人は少々怯えるように身をすくめており、タイトルからも診察ののち手術が行われることになっているためだと思われる。
木の棚には金属のボウルのようなものが置かれており、診察のために使う道具ではないかと思われる。木の店の裏面にも何か掛けられているようだが、暗さのため定かではない。タペストリーのようなものも室内に掛けられているが、こちらもなんのタペストリーか判別はできない。
《テュルプ博士の解剖学講義》(1632年)のように、レンブラントは医療に関する主題の作品を制作することも多々あった。17世紀における解剖学講義は社交イベントであったようで、実際解剖劇場という公開専用の講義室が設けられ、学生や医師、一般市民が入場料を支払って見学したという。
なお、見学者は厳粛な社交イベントにふさわしい服装を着用することが求められた。こうした17世紀ネーデルランドの風潮からも、医学が一般市民に近しい位置づけにあり、作品の主題としても需要が高かったことは容易に想像できる。《テュルプ博士の解剖学講義》とは異なり、ある種町医者的な素朴さのある診療所であるが、それだけに一般市民の関心が身近な医学にも向けられていたことが伺える。
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