作品概要
《音楽の寓意》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1626年から1626年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されている。

西洋美術史では、様々な寓意画が描かれてきた。特に歴史画では、芸術や知恵などが女神や神話に登場する人物に寓意をもたせる形で描かれることが多い。レンブラントもまた、寓意画を描いている。
本作では登場人物たちが様々な楽器を演奏している。奥にカーテンが引かれた室内では4人の老若男女が楽器を弾いたり、楽譜を読み解くなどしている。特長的な帽子を被った金髪の若い女性は、楽譜と思われる分厚い本をめくり、何か驚きがあったのか手を上げている。赤を基調とした衣装で、帽子と同様特長的な文様のドレスを着た女性は青のサテンの生地がかかったテーブルに肘を置いている。その上には本や花瓶が置かれているが、その整然とした様子に反してテーブルの下に楽譜が乱雑に置かれており、リュートさえ転がっている。手前のテーブルにヴァイオリンが置かれている様子からすると、その乱雑さは際立っている。
奥でチェロのような楽器を弾く壮年の男性は、青を基調としたグラデーションのターバンを被っており、衣装もまた東洋風である。奥の若い男性は、羽のついた帽子をかぶり、緑のゆったりとした衣服をまといながらハープを奏でている。カーテンに一番近い老女はストールをかぶり、どこか思案するようなポーズをとっている。
この作品で特長的なのは画中画がもちいられていることである。定かでないものの、女性たちが連なって湖の岸辺で遊んでいるようである。西洋美術史では芸術の女神たちとして9人の女神たちが描かれることが多い。この画中画は、音楽を始めとした芸術の寓意を示していることを示唆していると考えられる。東洋と西洋さまざまな衣装を着た老若男女が音楽を奏でていることからも、当時のネーデルランドで様々な文化が交流していたことも示していると考えていいだろう。
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