作品概要
《ヤコブと天使》は、画家のギュスターヴ・モローによって制作された作品。制作年は1874年から1878年で、フォッグ美術館に所蔵されている。

《ヤコブと天使》は、フランスの象徴主義の画家ギュスターヴ・モローによって1874年から1878年にかけて制作された油彩画である。ハーバード大学内にあるフォッグ美術館に所蔵されている。
幻想の画家
ギュスターヴ・モローは、その幻想的な作品の空想の世界と不気味さで鑑賞者を魅了する、最も魅力的な19世紀の画家のひとりである。物理的な世界の不完全さと一時性を強調する新プラトン主義と呼ばれる宗教的信仰によって導かれ、モローはキャンバス上に想像の産物を写真のような正確さで捉えようとした。そうすることにより、モローは神聖なビジョンを描くことができると信じていた。
創世記から取られた主題
ヤコブがカナンへの旅の途中で天使と戦うこの夜の場面は、創世記から取られたものである。モローは、ドラクロワが1861年に描いた有名な《ヤコブと天使の戦い》を非難し、目に見えない無限の力を持つ敵と戦うというヤコブの戦いの無益さをより正確に伝えたと書いている。
寓意的側面
このモニュメンタルな作品は、当時の政治の寓意であり、普仏戦争への画家の反応を示す人間と 精神的な強さの戦いであると解釈されてきた。この絵が1878年の万国博覧会で発表されたとき、それは付加的な寓意性を発揮した。本作は、男性の一生の3つの時期を象徴する、《ナイル河に捨てられたモーセ》(1878年)、《ダヴィデ》(1878年)とともに、三部作の一部となった。
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