作品概要
《ヘロデ王の前で踊るサロメ》は、画家のギュスターヴ・モローによって制作された作品。制作年は1876年から1876年で、アーマンド・ハマー美術館に所蔵されている。

幻想の画家
ギュスターヴ・モローは、最も魅力的な19世紀の画家のひとりである。その幻想的な作品には空想の世界が描かれ、その不気味さで鑑賞者を魅了してきた。物理的な世界の不完全さと一時性を強調する新プラトン主義という宗教的信仰によって導かれたモローは、想像上の産物をキャンバスの上に写真のような正確さで描き出そうとした。そうすることにより、モローは神聖なビジョンを描くことができると信じていたのである。
モローの作品は、通常、聖書や神話の物語からの場面を描いている。それらは、欲望や感情を抽象的な形で表現するために、争いに囚われた神や人間、奇妙な性と苦しみのビジョンといった曖昧な視覚的シンボルを備えている。モローの芸術は、彼自身が先駆者であった象徴主義やシュルレアリスムのような後の動きだけでなく、人間の心の中で最も暗く深い衝動に自由を与えるような、われわれの時代特有の関心を予期したものとなっている。
サロメの画家モロー
その生涯の間、モローは旧約聖書のサロメの主題に固執したために、「サロメの画家」と定義されていた。 サロメが洗礼者ヨハネの首を褒美にもらうためにヘロデ王を魅了するために行った魔法の踊りは、装飾的細部が豊富な厳粛な東洋風の建物の中に描かれている。衣類の輝き、優美でエキゾチックな雰囲気、豊かな儀式的要素と傲慢なジェスチャーは、オスカー・ワイルドやジョリス=カルル・ユイスマンスなど、19世紀後半の文学者の退廃的傾向を形成する巨大な力を与えた。
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