作品概要
《クピドとプシュケー》は、画家のジャック=ルイ・ダヴィットによって制作された作品。制作年は1817年から1817年で、クリーブランド美術館に所蔵されている。

制作の背景
ダヴィッドがブリュッセルに亡命して最初に制作した歴史画はクピドとプシュケーの神話主題であるが、非常に独自で不穏な解釈により描かれたものであった。パリで計画され、1817年にブリュッセルで完成したこの作品は、裕福なイタリア人パトロンであるジョヴァンニ・バッティスタ・ソマリヴァのために描かれた。
主題
「クピドとプシュケー」と言う主題は、帝政ローマの弁論作家のルキウス・アプレイウスの小説「黄金の驢馬」(2世紀後半)内の挿話として有名である。愛の神クピドは、美しいプシュケーと恋に落ち、彼女を彼の宮殿に連れて行く。クピドは毎晩プシュケーのもとを訪れるが、決して顔を見せることはしなかった。しかし、好奇心に負けたプシュケーはある夜、眠ったクピドの顔を見る。そのとき、一滴の熱い油が彼女のランプから落ちてしまう。目を覚ましたクピドは彼女を捨て、宮殿は姿を消した。その後プシュケーはさまよい歩き、恋人を取り戻すためにウェヌスから与えられる無理難題に取り組むことになる。
描写
多くの他の画家たちは、恋人たちを無垢で柔らかく詩的なものと解釈してきたが、ダヴィッドは意図的に二人の関係の性的側面に注目した。通常、クピドは美しい若い男として示されるが、ダヴィッドは、美女の征服を誇っている笑顔の青年として彼を描いた。クピドの健康的な肌の特徴と奇妙な角度の手足と、眠っているプシュケーの淡く滑らかで気だるげな美しさの間には大きなコントラストがある。
ダヴィッドには珍しいことに、色は明るく強烈である。ブリュッセルにおいてダヴィッドは、ヤン・ファン・エイクのようなフランドル派の画家が使用した色を見ていた。
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