作品概要
《闘牛》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1933年から1934年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

年月を超えて揺さぶられたピカソ
1889年、九歳の時、ピカソは父親に連れられて、初めての闘牛観戦を体験している。九歳の繊細な子供にとって闘牛場で目撃した劇的なシーンはとても衝撃的で、ピカソは同年、闘牛を主題に筆を取っているが、闘牛の主題はその後、歳月を越えて再びピカソを揺さぶることになる。
1934年にピカソは家族とともに長年訪れていなかった故郷スペインの地を再び踏み、それが彼にとっての最後の故国への来訪となっており、バルセロナを旅した際には、闘牛を観戦している。それは彼にとって大きなインスピレーションとなり、闘牛場で繰り広げられる残虐なる戦いを主題にしたドローイング、版画、油彩を含む一連の作品を残すに至った。
死にゆく闘牛
ピカソにとっては、闘牛と闘牛士の間で交わされる凄然な挑みあいは、人類のもつ高潔さと、同時に備わる残虐さを象徴しており、隣合わさる生と死を物語っている。闘牛をテーマにした作品では闘牛士と闘牛、観衆などがモチーフとなっていることが多いが、同作品「闘牛」は苦しいながら死んでいく闘牛のみをクローズアップして表している。現在、メトロポリタン美術館所蔵。
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