作品概要
《すいかを食べる男と山羊》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1967年から1967年で、ポーラ美術館に所蔵されている。

ピカソはフランスで制作活動を行うもフランス国籍を拒否し、スペイン人であり続けた。本作品はスペイン画家の黄金時代を代表するムリーリョを彷彿とさせ、生涯スペイン絵画の伝統を参照してきたことが分かる作品である。
ピカソは年々作品を制作するにあたり、「男と女」、「人間と動物」、「画家とモデル」、「老人と若者」というようにそれぞれ相反するものを並べてモチーフにする傾向が強くなっていた。
そこには人間の3大欲の内、食欲・性欲を満たそうとするグロテスクであり無垢なイメージが共通して存在する。
スペイン絵画ではメロンやすいかを食べる少年というのは慈悲的対象となる貧しくも無垢で生命力に溢れる人間像を示す。座り込んですいかを食べている少年と山羊の組み合わせは、ピカソがスペインで知った牧歌的な生活を思い起こさせる。
また、ピカソは山羊が大好きで、生活に身近な動物であった。南フランスのラ・カリフォルニー荘ではペットとしてエスメラルダを飼っていたのだ。ピカソは幼少期をのどかな農村で過ごしてきたこともあり、作品の中の少年に自身の幼少期の思い出を重ねているのかもしれない。
山羊が大好きだったピカソは本作品以外にも山羊をモチーフにした作品があり、「山羊の頭」、「牝山羊」などが挙げられる。
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