作品概要
《海辺の母子像》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1902年から1902年で、ポーラ美術館に所蔵されている。

「青の時代」の作品
本作品はピカソが20歳のときのものある。その頃、彼は親友のカサジェマスの死をきっかけに、死や貧困をテーマにした作品を描くようになった。
この時期のことを「青の時代」と呼んでいる。元来、ピカソの作品には色彩豊かなものが多いのだが、この「青青の時代」の作品では、青を多用し憂鬱や静けさを表現している。
物悲しい母子
1902年にピカソはスペインのバルセロナに帰郷し、本作品を描いた。
背景に描かれている海岸は、かつてピカソは通った美術学校の前に広がる浜辺。そこは、ピカソとカサジェマスが一緒に過ごした思い出の場所である。
母親が幼い子どもを抱いて立っており、暗い海とどこか物悲しい様子が印象的である。
ピカソはこの絵を描く前、すなわちバルセロナ帰郷の前に、パリのサン・ラザール監獄に通い、娼婦をモデルに絵を描いていた。そこでは、子どもと娼婦が一緒に暮らすことを許されていた。ピカソはこのことに大変驚き、それから、子どもと一緒にいる女を描くようになった。本作品の母親の物悲しい表情は、この経験からインスピレーションを得たようだ。
親友へのレクイエム
母親は左手に、一輪の赤い花を持っている。青一色の絵の中で、そこだけは一点の赤。暖色である。
花を持って天に祈りを捧げる母親の姿は、あるいは親友カサジェマスへの祈りを重ね合わせているのだろうか。
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