作品概要
《海辺の母と子》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1921年から1921年で、シカゴ美術館に所蔵されている。

母と子をテーマに
ピカソは1921年から2年間の間、「母と子」をテーマにした作品を9点制作してきた。本作品はその中でも最も有名な作品である。
ピカソは1917年に結婚し、1921年は新しく父親となった。妻は作品のモデルであるロシアの踊り子のオルガ・コクローヴァ。父親になったことで、ピカソは1921年から1923年にかけて「母と子」をテーマにした作品を多数制作した。
オルガはロシア将軍の娘で、気品が漂う古典的な美しさのある女性であった。オルガと結婚したピカソは「新古典主義の時代」といわれる写実的な具象絵画の制作に舵を切ることとなった。
深い慈愛に満ちた作品
本作では、砂場にローマ風の衣装を身にまとった母親が座り、その膝の上で裸の子どもがのびのび遊んでいる様子が描かれている。背景はいたってシンプルだ。太い腕と足、画面一杯に丸みを帯びた母親の姿を描くことによって、躍動感に満ちた作品となっている。
母親は、その丸みのある身体で子どもを包み込み、眼差しには優しさが満ち溢れている。深い慈愛をも感じ取れる作品である。
同年に制作された「肘掛け椅子に座るオルガ」に描かれている彼女の姿は、端正な顔つきとスマートな身体つきだが、本作品ではそれがかなりデフォルメされて表現されている。
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