作品概要
《鏡の前の少女》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1932年から1932年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

1927年、当時46歳のピカソは、17歳の少女マリー・テレーズ・ウォルターと恋愛関係に落ちた。本作品はテレーズをモデルに描いた作品である。
彼は、常々ギリシャ彫刻に感じていた「理想の女性像」とテレーズを重ね合わせて本作を描いた。
作品の特徴
この絵の中で、モチーフは黒く太い線と、鮮やかな色彩で描かれている。
顔の右側はピンクやラベンダー色といった優しい色を使って、穏やかな表情を描いている。逆に、反対の左側は三日月のような形の顔で、緑のアイシャドウやオレンジのリップといった派手な色を使い、厚化粧を施している。
これはテレーズから感じとれる二面性、例えば昼と夜の顔、少女から大人の女性への変化を表していると推測される。
特に左側の三日月の形は奇抜である。また顔は横顔と正面から見た顔が合わさっているような恰好である。
女性の身体に目を向けると、縞模様を効果的に使って表現されていることが分かる。お腹をよく見ると膨らみがあり、妊娠を表しているようにも思われる。そして、鏡に映っているテレーズの顔色は、暗く老婆のようで、まるで死に近づいているようだ。
人間の持つ二面性
本来、鏡は対象物そのものを映し出すもののはずである。ピカソが鏡に映し出されたものを大きく変えて描いているのは、テレーズの恐怖心や二人の将来を暗示しているのだろうか。
ピカソは本作において、テレーズを通じて、人間の持つ二面性を表現しようとしたのだろう。
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