作品概要
《子供たちと踊るパン》は、画家のアルノルト・ベックリンによって制作された作品。制作年は1884?年で、フォルクヴァンク美術館に所蔵されている。

象徴と幻想の画家
アルノルト・ベックリンは、その特性をひとつの表現でまとめられない点で、近代画家の間では珍しい存在である。当時の他の画家が過去の古典的歴史主題を振り返り、より顕著な抽象化を試みた一方で、ベックリンは、神話的なイメージや、劇的で贅沢なものに引き寄せられ、ルネッサンス依頼の芸術の歴史に身を浸した。結果として彼の作品は、キッチュと呼ばれそうに様式的で主題的な折衷主義と、絵画的な伝統との組み合わせとなった。
ベックリンの作品は、時には大衆を魅了する力を持っていた。しかしそれらはまた、奇妙な主題を自然主義的表現と組み合わせることに興味を持った多くの近代画家の試金石ともなった。
パンの横笛と祭りの踊り
画家の生きた時代の象徴主義的な嗜好に続き、アルノルト・ベックリンは古典的主題で多くの作品を制作した。1869年、詩人であり美術収集家のアドルフ・シャックのために描かれた作品《ギリシャの神々》には、パンとプットーたちが踊っている場面が描かれている。《子供たちと踊るパン》では、より一般的なパンパイプの代わりに横笛を持たせることによって、モチーフに特別なひねりが与えられている。
羊飼いたちは、パンを森林や畑の神として崇拝し、羊の保護を求めていた。パンはアルカディアのライカエウム山に住み、音楽を奏でて陽気に踊っていたよ言われている。頭に花輪をかぶっている裸の子供たちによるこの踊りは、牧歌的な祭典の一部であったと思われる。
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