作品概要
《用水路と橋と山羊》は、画家のピエト・モンドリアンによって制作された作品。制作年は1894年から1895年で、ハーグ市立美術館に所蔵されている。

作品描写
《用水路と橋と山羊》は1898年から1899年に制作されたモンドリアンの牧歌的な作品群の一つである。それらの作品は彼が過去の生活へ思いを馳せながら、アトリエのセットで人工的に作り出したものが多かったと言われている。
本作に描かれている道や運河は極めて直線であり、自然的ではない。モンドリアンが描く牧歌的な作品群には他にも農夫は優雅に畝を作っている描写。そして空の色は絵の具をチューブからそのまま出したように真っ青で家々の屋根は赤くきらめき、農夫はまるでカメラの前でポーズをとるように笑みを浮かべているといった不自然さが目立つ。
このような自然的でないといった特徴はアトリエで作り出した人工物であった体と考えられている。そしてなりよりもその作品の多さからモンドリアンがどれほど古風な田舎暮らしに憧れがあったかがうかがえる。
近代芸術への予感
当時のモンドリアンはまきうた自然の無表情な静けさを表現することに夢中になったことがこういった作品の多さからうかがえる。
当時のオランダ絵画では静けさに満ちたポーズをよく見受けるが、モンドリアンほど純粋で悲しみの影のないのは他に類を見ない。遠く離れたウィーンではユーゲントシュティールの大家グスタフ・クリムトがモンドリアンとよく似た作品を描いていた。エロティシズムのクリムトと田園生活の牧歌を描くこの若いオランダの画家の間には環境の違いはあれど、芸術家の立場というものの共通の認識があった。おそらく二人とも将来芸術はもはや生活の描写ではなくなり、アトリエの中の人工的な環境の中にあるということに気づいていたことだろう。
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