作品概要
《白い服の女》は、画家のシャイム・スーティンによって制作された作品。制作年は1923年から1923年で、コートールド・ギャラリーに所蔵されている。

スーティンは、ロシア系ユダヤ人で、その多くをフランスで過ごした。彼はパリ在住の間、表現派の活動に大きく貢献した人物である。レンブラント、シャルダン、クールベなどのヨーロッパの伝統的な絵画から影響を受けつつ、描写の形や色、質感などについて独特のスタイルを確立し、伝統的手法と抽象的表現主義の形成の間の架け橋の役割を担った。
スーティンの優れた表現力
非常に印象的な肖像画である本作《白い服の女》を観ていると、スーティンがモデルの精神的な状況を表現する能力に長けていることがよく分かる。
女性の見た目はねじれた姿で描かれており、そこから若さゆえの将来への希望や美しさよりむしろ、彼女の弱さや不安定さや失望が見えてくる。
彼女がごく普通の無名な一般市民であり、一人の人間としての感情が明確に描かれていることで、当時の都会の生活の象徴的な存在として表現されている。スーティンは直感的に絵を描くことで、作品に存在感と感情的インパクトを与えている。
スーティンの人生の転換期
彼は貧しい生活が長かったが、その人生は1923年にアメリカ人コレクターのアルバート・バーンズに出会ったことで一変した。
バーンズは、スーティンが美術界で大きな役割を果たすことになるだろうと確信し、スーティンのスタジオを訪れたその日に多くの作品を購入した。そして当時流行発信源であった富豪のマデレーン・カステンにスーティンを紹介した。
その後マデレーン・カステンとその夫はスーティンのパトロンとなり、スーティンは貧困から抜け出し、画家として一躍有名になるのである。
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