作品概要
《春の夕べ》は、画家のアルノルト・ベックリンによって制作された作品。制作年は1879年から1879年で、ブダペスト国立西洋美術館に所蔵されている。

奇妙な主題を描いた画家
アルノルト・ベックリンは、その特性をひとつの表現でまとめられない点で、近代画家の間では珍しい存在である。当時の他の画家が過去の古典的歴史主題を振り返り、より顕著な抽象化を試みた一方で、ベックリンは、神話的なイメージや、劇的で贅沢なものに引き寄せられ、ルネッサンス依頼の芸術の歴史に身を浸した。結果として彼の作品は、キッチュと呼ばれそうに様式的で主題的な折衷主義と、絵画的な伝統との組み合わせとなった。
ベックリンの作品は、時には大衆を魅了する力を持っていた。しかしそれらはまた、奇妙な主題を自然主義的表現と組み合わせることに興味を持った多くの近代画家の試金石ともなった。
様々なバージョンのある作品
ベックリンは1874年からフィレンツェに住んでいた。そこで画家ハンス・フォン・マレーに会い、1879年には彼とともにイタリア南部を旅行した。同年、ベックリンは優美な雰囲気の本作、《春の夕べ》を描いた。ブダペスト国立西洋美術館に所蔵されているこの作品に細部が最も近い、わずかに早い時期に描かれたバージョン(その後失われた)では、パンが横笛を演奏している。1年後に描かれたチューリッヒ美術館所蔵のいくらか静的な作品では、構成が反転している。
1890年にベックリンは、本作と似てはいるが以前のものとは大きく異なる3つのバージョンを描き、森のニンフと戯れるパンを復活させた。
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