作品概要
《眠るディアナと二匹のファウヌス》は、画家のアルノルト・ベックリンによって制作された作品。制作年は1877年から1885年で、クンストパラスト美術館に所蔵されている。

折衷した作風
アルノルト・ベックリンは、その特性をひとつの表現でまとめられない点で、近代画家の間では珍しい存在である。当時の他の画家が過去の古典的歴史主題を振り返り、より顕著な抽象化を試みた一方で、ベックリンは、神話的なイメージや劇的で贅沢なものに引き寄せられ、ルネッサンス依頼の芸術の歴史に身を浸した。結果として彼の作品は、キッチュと呼ばれそうに様式的で主題的な折衷主義と、絵画的な伝統との組み合わせとなった。
ベックリンの作品は、時には大衆を魅了する力を持っていた。しかしそれらはまた、奇妙な主題を自然主義的表現と組み合わせることに興味を持った多くの近代画家の試金石ともなった。
壊れやすいコントラスト
魅力的な狩猟の女神ダイアナの明るい輝きと、彼女を見ている好色で恐ろしい毛むくじゃらのファウヌスのコントラストは、それほど大きくはない。彼らの手は画面の中心でほぼ触れそうであるが、後ろのファウヌスは彼の仲間を止めるように拘束している。したがって、女神と自然の生き物、純潔と本能、崇高さとグロテスクさという壊れやすい対照が維持され、それにより禁断のものを見ることの刺激が維持されている。半裸のダイアナの姿は、「眠れるヴィーナス」のような女性が横たわる姿の長い伝統を受け継いでいる。
ベックリンはイタリア初期のルネサンスで好まれた色の影響を受け、この作品を描いた。デュッセルドルフ美術アカデミーで風景画を学んだ彼は、19世紀の理想主義的象徴主義の主な代表者と見なされている。
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