作品概要
《魚のある静物画》は、画家のシャイム・スーティンによって制作された作品。制作年は1920年から1920年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

生い立ち
1893年、ベラルーシのミンクス郊外で、ユダヤ人家庭の10番目の子どもとして生まれたスーティンは、青年期、ユダヤの伝統に反してヴィリニュスの美術学校に入学した。
パリでの生活
20歳のとき、自身の進路に確信を持ち、その美術学校の友人二人と共にパリに移住した。その友だちとは、のちにエコール・ド・パリに属した、ピンクス・クレメーニュとミシェル・キコイーヌである。
そこでスーティンは、フェルナン・コルモンの教える美術学校で学び、モンパルナスにある悪名高いアーティストの集まるアパート、ラ・ルシェに滞在した。
ボヘミアン・アーティスト時代
20代の時には、パリのボヘミアン生活を謳歌していた。他のアーティストたちと夜遅くまで飲み歩き、次の日の午後から起きてスタジオで働くという生活だった。スーティンは、フランスでの自由を満喫した生活を楽しんでおり、当時有名だったアーティストとも友だちになっていた。
しかし本当に親しい友人はいつもユダヤ人だった。特にユダヤ系イタリア移民のモジリアーニとは、同居していただけでなく、画法の開拓やモデルや画商までも共有していた。
静物画シリーズ
この頃スーティンは、静物画が有名であった。当時、歴史的絵画を描くようにと期待するような、古典主義の制約を気にすることなく、スーティンやその仲間たちは、形や質感でいろいろ試していて、物の新しい見方を日々模索していた。
本作《魚のある静物画》では、スーティンが絵の具をどのようにもてあそんでいるかを見ることができる。まるで彫刻を作るときのように厚く塗る技法で描かれた作品である。
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