作品概要
《ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像》は、画家のアルノルト・ベックリンによって制作された作品。制作年は1872?年で、旧国立美術館に所蔵されている。

ベックリン初期の特異な自画像である。左肩の後ろでバイオリンを演奏する骸骨に気づいて気づいているのかいないのか、画家は優雅にポーズをとり、鑑賞者の視線を招いている。
この絵は、ベックリン作品の代名詞であるゴシック様式のユーモアとともに、19世紀半ばのフランス写実主義絵画の影響を示している。ベックリンはまた、ロマン主義的なゴシック様式の主題と、画家の姿勢と衣服に特に明白な、形式張らない表現を組み合わせている。
さまざまな影響を受けた作品
本作においておそらくベックリンは、若い時に賞賛したバルビゾン派の画家の影響を受けている。また、北方ルネッサンス以降ポピュラーなジャンルであった「メメント・モリ」の要素の再加工にもなっている。ハンス・ホルバインの有名な作品《大使たち》(1533年)と、《ブライアン・タクの肖像》(1827年)もまた、本作に影響を与えたと思われる。実際、後者はベックリンがミュンヘンに拠点を置いていた1870年代初め、アルテ・ピナコテークに展示されていた。
また、中世の伝統である「ダンス・マカブル(死の舞踏)」様式との関連を見出すこともできる。踊る骸骨に導かれる人々の行列を描いたこの伝統は、しばしば木版画で制作された。
このように本作は、ベックリンのキャリアを通して注目すべき性質である、さまざまな影響の折衷主義を明らかにしている。
与えた影響
この作品は、多くの近代画家、特にドイツの表現主義画家であるロヴィス・コリントに大きな影響を与えた。コリントは1896年に、骸骨とともに描かれた自画像を制作している。
ベックリンの作品はまた、後のロマン主義の作曲家グスタフ・マーラーにも影響を与えた。妻アルマによれば、マーラーは絵を見た後で、交響曲第4番ト長調(1900年)に長2度高く調弦したヴァイオリンのソロを加えたと言う。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。